古代から愛される清涼ハーブ「ペパーミント」の魅力とは?

※本記事は、ハーブや植物に関する一般的な情報の提供を目的としており、特定の成分や商品の効果・効能を保証するものではありません。医薬品・医療行為の代替を意図したものではなく、参考情報としてご覧ください。
多種多様なミント
皆さんは「ミント」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
「スーッとする」「歯磨き粉に使われている」など、清涼感のある香りを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実はミントは、世界に40種以上も存在するといわれています。本記事では、そんな多種多様なミントの中でもとくに有名な「ペパーミント」について、歴史、文化的な利用、活用方法まで幅広くご紹介します。
ペパーミントの基本情報
- 植物名:ペパーミント
- 学名:Mentha piperita
- 和名:セイヨウハッカ
- 科名:シソ科(Lamiaceae)
- 使用部位:葉
- 含有成分(代表的なもの):
- 精油(ℓ-メントール、メントン、メントフラン)
- フラボノイド(アピゲニン、ルテオリン)
- タンニン(ロスマリン酸)
- カフェ酸、クロロゲン酸
- 民間利用で伝えられてきた作用:
- リフレッシュ(のち鎮静)
- お腹の不快感の軽減を目的とした伝承的利用
- ハーブティーとして親しまれている
- 食後や気分転換の場面でよく用いられる
ペパーミントの歴史
ペパーミントは古代エジプトでは胃の不快感を和らげるために栽培されていたと言われ、 古代ギリシャやローマでも消化をサポートする目的で用いられてきたとされています。 中世ヨーロッパでは、風邪や頭痛、しゃっくり、月経の乱れといったときに使われていたという記録も残っています。
ペパーミントをお茶にしたペパーミントティーは、食べ過ぎ・飲み過ぎ・食欲不振などの場面で古くから用いられてきたハーブティーのひとつで、 お腹の張りや違和感を感じるときなどに飲まれることが多かったようです。
また、ペパーミントの爽やかなメントールの香りは、気分を切り替えたいときや集中したいときにもよく使われてきました。メントールの香りが、口や皮膚の冷感受容体に働きかけるため、すっきりとした感覚が得られると言われています。
ペパーミントの香り成分については、腸内の筋肉に働きかける可能性があるとして研究が進められています。ハーブの伝統的な利用法に対する科学的検証も近年注目されています。 ドイツなどの一部地域では、小児科でもハーブティーの利用がされており、ジャーマンカモミールとのブレンドが、胃の不調が気になるときに用いられていたという事例も報告されています。
ペパーミントの栄養成分
ペパーミントには、香りだけでなく、ビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養素も含まれていることが知られています。
- ビタミン類:A、C、E、K、β-カロテン
- ミネラル:カルシウム、鉄、マグネシウム、マンガン、カリウム
- 食物繊維:ハーブとしては比較的豊富
あくまで食品としての範囲内での栄養ですが、日々の食生活の中で香りと一緒に楽しめる存在です。
栽培と植物の特徴
ペパーミントの原産地はヨーロッパですが、現在ではアジアや北米など世界各地で栽培されています。家庭でも栽培が比較的簡単なハーブとして知られており、ガーデニング初心者にも人気のハーブ。ただし、増えやすい性質があるため、プランター栽培などでコントロールしながら育てるのがおすすめです。
- 草丈:約45〜60cm
- 葉:鋸歯状で鮮やかな緑
- 花:晩夏にラベンダー色の花を咲かせます
- 栽培ポイント:柔らかな若葉を育てるために、こまめに摘み取りを
食卓でのペパーミントの楽しみ方
● 料理やスイーツに
- 生の若葉はサラダ、スープ、ソースの香りづけに
- 潰した葉をホイップクリームに混ぜてチョコレートムースと一緒に
- シャーベットやトマトのトッピングにも
● ドリンクに
- ミントウォーター:すり潰した葉1カップを4Lの水に入れて冷やすだけ。夏の水分補給にもぴったり
- ペパーミントティー:リフレッシュやリラックスしたいときの定番
保存する際は、洗って水気を切り、ジッパー付きの袋に入れて冷蔵庫へ。鮮度が長持ちします。
おわりに
香り、伝統、味わい、栄養と、さまざまな面で人々の暮らしに寄り添ってきたペパーミント。
古代から続くこのハーブの魅力を、私たちも現代のライフスタイルに取り入れてみませんか?
ティーや料理、ガーデニングなど、あなたの暮らしに合った形で、ペパーミントを楽しんでみてください。
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参考文献
- 木村正典(監修)、林真一郎(編)『メディカルハーブの事典:主要100種の基本データ』東京堂出版、2014年
- ナンシー・J・ハジェスキー(著)『ハーブ&スパイス大事典』日本ナショナルジオグラフィック社、2016年
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