ポカポカだけじゃない!「ジンジャー」の魅力

※本記事は、ハーブや植物に関する一般的な情報の提供を目的としており、特定の成分や商品の効果・効能を保証するものではありません。医薬品・医療行為の代替を意図したものではなく、参考情報としてご覧ください。
2500年以上の歴史を持つ万能ハーブ
ジンジャー(ショウガ)は、熱帯アジア原産のハーブで、古くから“食べる万能薬”とも称されるほど優れた薬効を持つ植物です。中国では2500年以上前から薬用として用いられ、インドや日本といったアジア諸国の伝統医療でも重要な役割を果たしてきました。料理や飲み物に使われるスパイスとしてだけでなく、ハーブティーや漢方などさまざまな形で活用されています。
ジンジャーの基本情報
- 植物名:ショウガ(ジンジャー)
- 学名:Zingiber officinale
- 科名:ショウガ科
- 使用部位:根茎
- 含有成分(代表的なもの):
- 精油:ジンギベレン、クルクメン、ビサボレン
- テルペノイド:テリピネオール、ネロール、ボルネオール、サビネン、カンフェン、シネオール
- 辛味成分:ジンゲロール、デヒドロジンゲロン
- 二次的産物(加熱、アルカリ処理):ショーガオール、ジンゲロン
- よく用いられてきたシーン:
- 消化不良や胃腸の不調時
- 妊娠中のつわり対策に
- 乗り物酔いしやすいとき
- 関節炎などの不調に
ジンジャーの薬効
ジンジャーの代表的な成分には、ジンゲロール、ショウガオール、ジンゲロンなどがあります。これらの辛味成分には、血行を促進して身体を温めたり、発汗を促して熱を下げる働きがあるとされ、風邪のひきはじめに好まれてきました。また、胃液の分泌を促すことで消化吸収を助け、食欲不振や胃のもたれにも伝統的に使われてきました。
ジンジャーの精油成分(ジンギベレン、シトロネラールなど)には、香りによる食欲増進や血行促進、消臭作用などがあるとされ、気分をリフレッシュしたいときにも用いられています。
また、漢方の世界では、ショウガを加熱せずに乾燥させたものを「生姜(しょうきょう)」、蒸したり湯通しした後に乾燥させたものを「乾姜(かんきょう)」と呼び分けており、 生姜は吐き気や食欲不振のときに、乾姜はより強い温め作用があるとされ、使い分けられています。
ジンジャーの歴史と伝統利用
ジンジャーの歴史は古く、中国やインド、インドネシアで伝統的に使われてきました。 東洋医学では、生と乾燥で異なる性質を持つとされ、それぞれの特徴を活かして体調に応じて使い分けられてきました。
現代では、ジンジャーが体内で生成・作用する生理活性物質(プロスタグランジン、ロイコトリエン、トロンボキサン)との関連も研究されており、 その働きから関節の違和感などにもサポートが期待されています。
食卓での楽しみ方
ジンジャーは、料理・お菓子・飲料・ティーなど幅広く活躍する万能ハーブです。
- スライスして紅茶に加えてジンジャーティーに
- 蜂蜜やレモンと合わせてホットドリンクに
- クッキーやケーキなど焼き菓子の風味づけに
- カレーやスープなど料理のアクセントとして
寿司と一緒に出される「がり(甘酢ショウガ)」も、解毒作用があるとされ、魚による不調の予防や食欲促進、胃腸の調子を整えるために利用されてきました。 こうした使われ方からも、まさに“薬食同源”という言葉がぴったりのハーブです。
また、乾燥ジンジャーやパウダーは保存もしやすく、常備ハーブとしても便利です。
栽培と植物の特徴
ジンジャーは熱帯アジア原産の多年草で、日本でも暖かい地域では露地栽培が可能です。
- 草丈:約50〜100cm
- 葉:細長い線形で、茎に沿って互生する
- 根茎:私たちが普段“ショウガ”と呼ぶ部分。土中で横に伸びる
- 開花:温暖な環境で育てると、夏〜秋に黄色い花を咲かせることも
家庭でもプランターや鉢植えで育てられ、収穫して料理やティーに使える楽しさもあります。
おわりに
ジンジャーは、古代から人々の食と健康を支えてきたハーブのひとつです。
その力強い香りと味わいは、現代の私たちの暮らしにもやさしく寄り添ってくれます。
ティーとして、料理のアクセントとして、あなたの毎日にジンジャーの風味を取り入れてみてはいかがでしょうか?
🌿 ジンジャーを使ったブレンドハーブティーをご紹介しています。
🫖 ショウガがブレンドされたハーブティーを見る
参考文献:
- 丁 宗鐵 (著, 編集)『スパイス百科 起源から効能、利用法まで』, 丸善出版, 2018年
- 木村正典(監修)、林真一郎(編)『メディカルハーブの事典:主要100種の基本データ』, 東京堂出版, 2014年
コメント