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「若さ」と「記憶」の象徴──ローズマリーという植物の物語

古くから人々に親しまれてきたハーブ、ローズマリー。
その凛とした香りの奥には、ただの香味以上の深い物語が隠れています。

永遠の若さを象徴するハーブ

ローズマリーの和名は「マンネンロウ(万年朗)」──「永遠の青年」を意味するこの言葉には、古来よりこのハーブに託されてきた願いが込められていると言われています。
古代ギリシャやローマの時代には、記憶力を高める薬草として知られ、学生たちは試験の前にローズマリーの葉を噛んだり、小枝を髪に編み込んだりしていたそうです。
また、14世紀のヨーロッパでは、この植物から抽出されたオイルが「ハンガリー王妃の水」という名の香水に使われたと伝えられています。伝承によれば、体調がすぐれなかった王妃が回復し、美しさも取り戻したとか。

「海のしずく」から「マリアのバラ」へ──名前の由来

ローズマリーの語源はラテン語の「ros marinus(海のしずく)」。
潮風が吹く海辺でも力強く育つその姿は、多くの人々にインスピレーションを与えてきました。
やがてその名前は「rose-marine(海のバラ)」、さらには「Mary’s Rose(マリアのバラ)」へと変化し、清らかさや友情、思い出の象徴として結婚式や葬儀などの儀式にも用いられるようになりました。

現代におけるローズマリーの注目成分

ローズマリーには、植物性の抗酸化成分「ロスマリン酸」や「サリチル酸」、さらにビタミンA・B・C、鉄、カルシウム、マグネシウムといったミネラルも含まれています。
これらの成分は、年齢を重ねた体や日常のコンディションケアに関心がある方々から注目されています。

なかでもロスマリン酸は、1960年にイタリアの研究者によってローズマリーの葉から初めて発見・抽出されたことに由来し、その名がつけられました。
ポリフェノールの一種であるこの成分は、強い抗酸化作用を持ち、炎症やアレルギー、菌に対する防御機能への働きが期待されています。
ローズマリーという古くからのハーブに、現代の科学が再び光を当てているのです。

海外の研究では、ローズマリーの香りに触れることで集中力や記憶力が維持されやすくなる可能性が示唆されています。また、すっきりとした香りは気分転換やリフレッシュを目的に選ばれることもあります。

暮らしの中のローズマリー活用法

ローズマリーは料理のアクセントとして知られる一方、ハーブティー、チンキ剤、アロマオイル、バスソルトなど、ライフスタイルの中でも多彩に楽しむことができます。

・気分をリセットしたいときのティータイムに
・頭や肩が重く感じる日のバスタイムに
・スキンケアやヘアケアの一部として

刺激が強いと感じる場合は、ラベンダーなどの穏やかなハーブと組み合わせて使うのもおすすめです。

香りがもたらす、ほんの少しの整い

ローズマリーの香りは、頭の中をぐるぐると巡る思考に、そっとブレーキをかけてくれるような力があります。
暮らしの中のちょっとした瞬間に、このハーブがもたらす“整い”を取り入れてみてはいかがでしょうか。

🌿 もっと気軽にローズマリーを楽しみたい方へ
ローズマリーを中心に、ハーブ本来の香りと個性を活かしたブレンドハーブティーをご紹介しています。
日々のリズムに寄り添うようなやさしい味わいを、ぜひ一度お試しください。

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※本記事は特定の効能や医療的効果を保証するものではありません。日常の健康維持やリラックスタイムの一助としてご参考いただければ幸いです。

参考文献

  • 木村正典(監修)、林真一郎(編)『メディカルハーブの事典:主要100種の基本データ』東京堂出版、2014年
  • 永岡治(著)『クレオパトラも愛したハーブの物語 魅惑の香草と人間の5000年』, PHP研究所, 1988年

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MIKI

MIKI

「癒しの背景に、植物科学のロジックとやさしさを。」知性と感性で綴るハーバルライター

元々はIT業界で10年以上のキャリアを持つ、異色のハーバルライター。 多忙な日々の中で心身のバランスを崩したことをきっかけに、「食」や「植物」、「人の自然治癒力」に深く関心を抱くように。 その後、メディカルハーブを学び、ハーバルセラピストの資格を取得。現在は、有機野菜の栽培やハーブ農園の立ち上げにも挑戦しながら、メディカルハーブの魅力を発信するライターとして活動中。

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